【広告レポート・定例資料の自動化 事例】月40時間の集計と資料づくりを、確認中心の月6時間に

複数の広告媒体と計測ツールの数字を担当者が毎日手で写し、月末に突き合わせ、定例の前日に資料を作っている。そんな運用を仕組みに置き換える事例です。
数字の取得・照合・異常の通知・レポートと定例資料の下書きまでをAIエージェントと定時の処理が受け持ち、担当者は方針と結論を書く設計にしました。
試算では、集計と資料づくりの月約40時間が確認中心の約6時間になり、空いた時間を施策の検討に回せる形になります。

業種
スマホアプリ(Webサービス・ECにも同じ構成で対応)
規模の幅
月の広告費 数百万円〜
対象の媒体・領域
主要な広告媒体・計測ツール・売上データ、レポートと定例資料
体制
広告運用の専門家とエンジニア+AIエージェント

API が公開されているサービスであれば、同じ仕組みで接続できます。主な接続先:

広告媒体
計測・分析
売上・顧客
データ基盤・資料
通知・連絡

こんな状態になっていませんか

  • 各媒体の管理画面を開き、前日の数字を毎日手でスプレッドシートに写している
  • 媒体の管理画面と計測ツールで獲得の数が合わず、毎月その理由を調べ直している
  • 定例の前日は、グラフと前回比の表を作ることで一日が終わる
  • 獲得単価が急に上がったことに、数日たってから気づく

媒体が2つ、3つのうちは手作業でも回ります。けれど媒体が増え、アプリなら計測ツールも、ECなら売上のデータも加わると、同じ数字を何か所にも写す作業が毎日発生します。写す人の時間が取られるうえ、確認の順番も後ろにずれていき、異常に気づくのが遅れます。この事例は、その毎日の転記と毎月の資料づくりを仕組みに置き換え、担当者の時間を判断と施策に戻すためのものです。

導入前と導入後

導入前後の業務量(試算)

業務導入前導入後変化
数字の転記毎日 約1時間(媒体ごと+計測ツール)自動(朝の確認 約10分)1時間 → 10分
媒体と計測ツールの照合月末に 約半日毎日自動。ずれた時に通知月1 → 毎日
週次レポート毎週 約3時間下書きが届き、確認 約20分約9割減
月次レポート月初に 約1日1日の朝に下書き完成、確認 約1時間1日 → 1時間
定例資料毎回 約半日数字の部分は自動。方針の記入 約1時間半日 → 1時間
異常に気づくまで2〜3日後当日の朝数日 → 当日
合計(月)約40時間約6時間月34時間を施策へ

試算:月の広告費500万円で5媒体を運用する場合を前提に、業務の手順ごとに算出した目安です。実際の変化は運用の規模や体制により異なります。

表のうち時間が大きく減るのは、毎日・毎週くり返す作業です。転記と照合は、取り方とそろえ方を一度決めれば毎回同じ手順で進むため、定時の処理に任せられます。担当者に残るのは、朝に届いた要約と通知を見て、気になる所を管理画面で確かめる約10分です。

週次・月次のレポートと定例資料では、数字・推移・前回比・論点の候補までが下書きとして届きます。担当者は、その数字をもとに次の打ち手と相談事項を書き込みます。資料の中で時間がかかっていたのは数字を集めて表とグラフにする部分で、方針を考える部分は短い時間でも質を保ちやすいからです。

見落としやすいのが最後から2行目の、異常に気づくまでの日数です。毎朝、前日の数字が照合され、獲得単価の悪化や急な変化があればその日のうちに通知が届きます。予算の配分を変える判断を数日早く始められることは、時間の削減とは別の効果として表れます。御社の業務でどの行がどれくらい変わるかは、無料診断で今の手順を伺ってお答えします。

図2 導入前と導入後の、担当者の1か月の時間の配分
図2 導入前と導入後の、担当者の1か月の時間の配分(押すと拡大)

仕組みの全体像

この仕組みは7つの層でできています。外部のサービスから数字を取りに行き、成果の基準と突き合わせ、決まった時刻に動かし、ひとつの表にそろえて照合し、レポートにまとめ、操作の前に点検し、人に知らせて承認を受けます。各層は、6つの事例で共通の土台(AIエージェント・手順書・関門・外部サービスとの接続・定時実行・データの置き場・通知と承認・後追いの確認)の上に組んでいます。

どの層も、特定の道具に縛られる作りにはしていません。下の表の選択肢は代表的なもので、御社の環境に合わせて選びます。

層役割代表的な選択肢
外部との接続広告媒体・計測ツール・売上の数字を取りに行く各サービスの公式API(Meta・Google 広告・Yahoo!広告・TikTok など主要な広告媒体)、MCP(AIと外部サービスをつなぐ規格)など
成果の基準どの数字を正とするかを決め、媒体の報告を突き合わせる相手にする計測ツール(AppsFlyer・Adjust・Google アナリティクス(GA4)など)と、売上データ(EC・決済・顧客管理)
定時実行媒体ごとに時刻をずらして取得と集計を回す。PCを開いていなくても動くクラウドの定時実行(GitHub Actions・Google Cloud の Cloud Scheduler と Cloud Run など)
データ基盤単位・通貨・時刻をそろえて1つの表にし、媒体の合計と計測ツールの合計を照合するGoogle スプレッドシート、規模に応じて BigQuery などのデータ基盤。日々の確認は Google スプレッドシートや Looker Studio など
レポートと資料前回比・推移・論点の候補、反応が落ちてきた広告の差し替え候補を下書きするClaude・OpenAI・Gemini などの生成AIを使うAIエージェント、レポートと定例資料の型(スプレッドシート・Google スライド・HTML など)
関門AIエージェントの操作や外への送付の前に、決めた点検を通すAIの操作の直前に点検を差し込む仕組み、書き込んだ数字の読み戻しと照合の処理など
通知と承認異常・数字の欠け・下書きの完成を知らせ、担当者がここで判断するSlack・Microsoft Teams など

外部との接続の層では、各媒体のAPI(API=サービス同士をつなぐ窓口)から、費用・表示回数・クリック・獲得などを取得します。Meta・Google 広告・Yahoo!広告・TikTok など主要な広告媒体は、どれも数字を取り出す窓口を公開しているため、媒体が増えても同じ形でつなげます。AIエージェントが外部のサービスを扱う場面では、MCP という共通の規格を使うと、つなぎ方をそろえたまま接続先を広げられます。

成果の基準の層は、評価の物差しを決める層です。アプリでは、インストールや課金を計測ツールが記録しているため、AppsFlyer や Adjust から同じ期間の数字を取ります。Webが中心の会社では Google アナリティクス(GA4)の成果を、自然検索の流入を見たい会社では Search Console の数字を加えます。EC・決済・顧客管理の売上を同じ表に入れると、広告費と売上を並べて見られるようになり、獲得の数だけでなく売上に対する広告費の割合まで毎朝追えます。

定時実行の層は、取得と集計を決まった時刻に動かす役目です。媒体ごとに数字の締まる時刻や混み合う時間帯が違うため、時刻をずらして順に取りに行きます。クラウドで動かすので、担当者のPCが閉じていても、休日でも同じ時刻に処理が進みます。どの仕組みで動かすかは、御社がすでにお使いの環境や、引き渡し後に誰が手を入れるかに合わせて選びます。

データ基盤の層では、媒体ごとの項目名と単位の違いをそろえ、1つの表に書き込みます。データの置き場は Google スプレッドシート、規模に応じて BigQuery などのデータ基盤です。普段お使いのスプレッドシートが置き場になれば、新しい画面の使い方を覚える必要はありません。媒体や期間が増えて表が重くなったら BigQuery などに移し、Looker Studio のようなBIツール(数字をグラフで見るための道具)でも見られるようにします。

レポートと資料の層では、AIエージェントがそろった数字を読み、前回比・推移・論点の候補を下書きします。あわせて、表示回数に対して反応が落ちてきた広告を見つけ、差し替えの候補として挙げます。下書きの書き方は手順書(スキル=業務の手順をAIが読める形にした文書)にまとめてあるため、毎回同じ観点で作られます。使う生成AIは、文章の質・速さ・費用の釣り合いを見て用途ごとに選びます。

関門の層は、AIエージェントの操作の直前に割り込んで、決めた点検を通す仕組みです。表に書き込んだ数字はもう一度読み戻して取得元と照らし合わせ、資料を外へ送る前には担当者の確認を挟みます。通知と承認の層は Slack や Microsoft Teams です。異常があった時、数字が届かなかった時、下書きができた時に担当者のチャンネルへ届き、担当者はそこで管理画面で確かめるか、そのまま進めるかを決めます。

図1 仕組みの全体像。左のデータ源から、取得・照合を経て担当者の判断まで流れる
図1 仕組みの全体像。左のデータ源から、取得・照合を経て担当者の判断まで流れる(押すと拡大)

処理の流れ

1日の流れと、週初め・月初の流れを合わせて11段で示します。各段の主体は、定時の処理、AIエージェント、担当者のいずれかです。

  1. 定時処理 早朝、計測ツールと売上の数字を取得する
    計測ツールのデータ取得APIから、前日のインストール・課金・獲得の数を受け取ります。売上データをつないでいる場合は、EC・決済・顧客管理の前日分も取り込みます。取得した時刻と件数はその都度記録します。
  2. 定時処理 各媒体の前日分と直近数日分を取り直す
    各媒体のAPIへ、時刻をずらして順に問い合わせます。前日分に加えて直近数日分も取り直し、後から動いた数字で表を上書きします。
  3. 定時処理 単位・通貨・時刻をそろえて1つの表へ書き込む
    媒体ごとに違う項目名、金額の単位、集計の基準時刻を共通の形に直し、日別の表に書き込みます。書き込んだあとは読み戻して、取得元の合計と一致するかを確かめます。
  4. AIエージェント 届いていない数字を確かめる
    表を読み、取得できなかった媒体や、ある日の数字が欠けている所を探します。見つかれば、どの媒体のどの日かを添えて Slack に知らせます。
  5. AIエージェント 媒体の合計と計測ツールの合計を照合する
    同じ期間の獲得の数を突き合わせ、決めておいた幅を超えてずれた所を拾います。ずれた媒体と日付、ずれの大きさを記録します。
  6. AIエージェント 獲得単価の悪化や急な変化を検知して通知する
    直近の推移と比べて、獲得単価が上がった広告や、費用が急に増えた広告を探し、Slack に要約を送ります。反応が落ちてきた広告は差し替えの候補として添えます。
  7. 担当者 通知を見て、対応を決める
    朝の要約を読み、管理画面で確かめるもの、予算を動かすもの、様子を見るものを決めます。広告の変更は担当者の判断で行います。
  8. 定時処理 週初めと月初に、レポートの表を作る
    週初めには前週分、月初には前月分の集計をレポートの型に書き込み、翌月の記入用の表も用意します。
  9. AIエージェント 週次・月次レポートと定例資料を下書きする
    そろった数字から前回比・推移・論点の候補を書き、定例資料の数字とグラフの部分を作ります。できたら Slack で知らせます。
  10. 担当者 方針と相談事項を書き、確かめて送る
    下書きの数字を確かめ、次の打ち手と相談事項を書き込んで、社内や取引先へ送ります。結論の部分は担当者が書きます。
  11. AIエージェント 後で確かめることを台帳に登録する
    定例で決まった変更について、次回の定例で効果を見る日を確認の台帳に入れます。期限が来たら Slack で知らせ、次のレポートの論点にも加えます。

設計のポイント

数字は後から動くので、直近数日を毎回取り直す

広告媒体の数字は、配信した当日に確定するわけではありません。獲得は広告を見た数日後に起きることがあり、媒体側の集計もあとから補正されます。前日分を1回取って終わりにすると、表の数字が管理画面と少しずつ食い違っていきます。この仕組みでは毎朝、前日分に加えて直近数日分を取り直し、表を上書きする設計にしました。何日分を取り直すかは、媒体ごとの確定の早さに合わせて決めます。

媒体ごとの単位と時刻の違いを、取り込む時にそろえる

同じ費用という項目でも、媒体によって金額の単位や通貨の扱い、1日の区切りの時刻が違います。そのまま足し合わせると、合計が合わない原因になります。この仕組みでは、取り込む段階で共通の形に直してから表に書き込みます。後の照合やレポートはそろった表を読む形にしたので、媒体を増やす時も取り込みの部分を足せば、後の工程はそのまま使えます。

どの数字を正とするかを先に決める

媒体の管理画面は、その媒体の広告がどれだけ獲得したかを自分の基準で数えます。複数の媒体が同じ獲得を自分の成果として数えることもあるため、媒体の報告を足すと実際より多くなりがちです。この仕組みでは、アプリは計測ツール、Webは自社の計測、売上は決済や顧客管理のデータを正とし、媒体の報告は毎日突き合わせる対象として扱います。評価の基準が1つに決まるので、定例で数字の解釈に時間を取られにくくなります。

数字が届かないこと自体も検知する

APIの認証が切れたり、媒体側の仕様が変わったりすると、取得が止まることがあります。異常を数字の変化で見張っていると、数字が来ない日は何も知らせが届かず、気づくのが遅れます。この仕組みでは、取得した件数と時刻を毎回記録し、来るはずの数字が来なかったことを通知の対象にしました。通知がない朝は、すべての数字がそろったうえで異常がなかった朝という意味になります。

自社で作る場合に必要になること

同じ仕組みを社内で作ることもできます。その場合は、次の作業が必要になります。

  • 媒体ごとのAPI利用の申請と、認証の定期的な更新
    媒体ごとに申請の手順と審査があり、通ったあとも認証の期限が来るたびに更新が要ります。
  • 媒体ごとに違う項目名・単位・確定のタイミングの吸収
    媒体と計測ツールのそれぞれについて、どの項目がどの意味か、いつ確定するかを調べて変換を書く必要があります。
  • API の仕様変更への追従と、止まった時の検知
    媒体のAPIは定期的に版が変わります。変わるたびに取得の処理を直し、止まった時に気づける見張りも用意します。
  • 月の切り替えや祝日など、境目の動作確認
    月末から月初への切り替え、レポートの型の作り直し、連休をまたぐ集計など、年に数回しか起きない場面ほど確かめにくくなります。
  • 作った後の保守の担当
    作った人が異動すると、処理の中身を知る人がいなくなります。手順書と記録を残し、引き継げる形にしておく必要があります。

どれも一つずつは難しくありませんが、媒体の数だけ掛け算で増え、止まった時には通常の業務と並行して直すことになります。当社は複数の媒体と計測ツールで同じ構成を組んできたため、申請から境目の確認までの手順を最初から持った状態で始められます。

AIエージェントに任せること・担当者が決めること

AIエージェントと定時の処理に任せること担当者が決めること
媒体・計測ツール・売上の数字の取得と、直近数日分の取り直しどの数字を正とするか、照合でどこまでのずれを許すか
単位・通貨・時刻をそろえた表への書き込みと読み戻しレポートで見る指標と、前回比を取る期間
届いていない数字・照合のずれ・獲得単価の悪化の検知と通知通知を受けて、予算や配信を変えるかどうか
反応が落ちてきた広告を差し替え候補として挙げる実際に差し替えるか、どの広告に替えるか
週次・月次レポートと定例資料の数字・推移・論点の候補の下書き方針・結論・相談事項の記入と、送る前の最終確認
決まった変更を確認の台帳に入れ、期限に知らせる効果を見て、続けるか戻すか

広告の変更や資料の送付など、外に影響が出る操作は担当者が判断する設計です。AIエージェントが出すのは変更の案までで、反映は担当者の承認のあとに行います。操作の直前には関門(フック=操作の前に割り込んで点検する仕組み)を置き、決めた点検を通らない操作は進まないようにしています。

御社に残るもの

引き渡しのあとも、仕組みは御社の中で動き続けます。引き渡すものは次のとおりです。

  • 媒体・計測ツール・売上データからの取得と照合の処理一式
  • 定時実行の設定(何時に何を動かすか)
  • 日別の表、週次・月次レポートの型、定例資料の型
  • どの数字を正とするか、照合でどこまで許すかをまとめた指標の決めごと
  • レポートの下書きと点検の手順書(スキル)、関門の設定
  • 通知の設定と、確認の台帳
  • 運用の記録(いつ何を変えたか、どの通知にどう対応したか)

契約が終わったあとも、これらはそのまま使い続けられます。媒体を増やす時や指標を変える時も、手順書と記録があるので、社内の担当者が手を入れられます。

御社で進める場合

  1. 無料診断(30分・オンライン)
    今のレポート業務の手順と、使っている媒体・計測ツール・売上のデータを伺い、直す順番・仕組みにできる業務・進め方の目安をお返しします。
  2. 点検と見立て
    媒体と計測ツールの数字の取り方、今のスプレッドシートや資料の型を確かめ、どの数字を正とするかを一緒に決めます。
  3. 今の代理店や担当者と並走しながら仕組み化
    今の運用は続けたまま、取得・照合・通知・下書きの順に仕組みを入れていきます。手作業のレポートと並べて数字が合うことを確かめてから切り替えます。
  4. 引き渡し、人が足りなければ継続運用
    手順書・記録・設定を引き渡します。社内で回す人手が足りない場合は、当社がそのまま運用を続けることもできます。

料金は、月額固定型・成果報酬型・継続運用型の3つです。金額は診断のあとに個別にお見積りします。

よくある質問

専用のダッシュボードの道具が必要ですか?
不要です。普段お使いのスプレッドシートに自動で書き込みます。媒体や期間が増えて表が重くなった場合は、BigQuery などのデータ基盤に移し、Looker Studio などのBIツールでも見られるようにする選択肢もあります。
代理店に運用を任せたままでも導入できますか?
導入いただけます。運用を続けたまま、並行して仕組みを入れる進め方が基本です。代理店から届くレポートと数字を突き合わせる使い方もあります。
どの数字を正としますか?
アプリは計測ツール、Webは自社の計測を正とし、媒体の報告と毎日突き合わせます。最終的にどれを正とするかは、点検の段階で御社と一緒に決めます。
レポートの文面はAIが書くのですか?
数字・推移・論点の候補はAIが下書きし、方針と結論は担当者が書きます。下書きの観点は手順書にまとめてあるので、毎回同じ見方でそろった下書きが届きます。
無料診断を申し込む(30分)